症例・治療紹介

開門橋テクニック(外科術式1)

この術式は二つの段階にわけられる。


まず第一段階目の処置を説明する。
通常の抜歯操作を行う。次にボーンキュレット(Hu-Friedy CM11)で抜歯窩から肉芽の剥離挙上操作を行う。抜歯窩の剥 離を行う場合できるだけ骨に近い一点からボーンキュレットの挿入を行う。
近心頬側隅角部もしくは遠心頬側隅角部の炎症性歯肉の端からボーンキュレットの刃先が骨面にあたるように挿入する。
その挿入点からのみ剥離操作を行うのであるが挿入点が拡がらないように注意する。ボーンキュレットの剥離操作は骨面に対して刃が当たるようにスプーンを裏返しで使うようにする。ボーンキュレットのスプーン形状の外端に歯がついているのでスプーンのように使うのではなく刃を立てるようにスプーンを裏返し(逆方向)に使うのである。これは必ず守ってほしい。
スプーンを裏返すように鋭利な刃先を骨面に当てて使い、近いところから順に根尖方向に向かって肉芽を剥離していく。根尖部(抜歯窩最深部)まで剥離したら、今度はスプーンの先で掻きあげるように(スプーンの正方向)挿入点の反対側全体の剥離操作を行なう。この場合操作が一箇所からであるので抜歯窩最深部から歯頚部方向へはボーンキュレットの刃をたてるのに、先ほどと逆にスプーン形状の正方向で使い、根尖方向から歯頚部まで満遍なく抜歯窩全体を剥離して行く。挿入時から最初に骨面にボーンキュレットの刃が当たって最後に挿入点の反対側歯頚部まで骨面の感覚を意識しながら剥離するのである。骨面に軟組織が残るような手技になると歯肉のパーフォレーションを招くから注意する。


本来ボーンキュレットの使用法は刃をたてて全体をこそぎ取るように使うもので、嚢胞を除去したり抜歯時に不要な炎症性肉芽を除去掻爬する場合に巧く使うと一塊で除去できる。ここまでの手法は一般臨床時によく目にする限局的な歯周病やそれを含む歯根膜炎などの抜歯時に何回か意識してボーンキュレットを使うと特別な手技ではなく、簡単にできるようになる。






(これは石焼ビビンバのおこげをこそげ取るのに似ている。)

抜歯窩から剥離した肉芽は再び抜歯窩に落ち込むことがないようにその患歯のあった歯頚部より1-2ミリ根尖側の安定した歯肉部から縫合針(4-0 Silk No.3)を刺入し剥離した肉芽の下を通して持ち上げるように縫合する。 縫合は落ち込まなければよいので、多くなくてよく筆者はクロスマットレスで対応している。筆者はボーンキュレット挿入部よりシリンジで強酸性水で念のため弱圧で洗浄して抜歯窩上のフラップをもちあげ、フラップの剥離状態とパーフォレーションの有無の確認をしている。 
処置部には圧迫止血や歯周パックはしない。投薬も通常の抜歯と同じでよい。
約1週後通常通り抜糸を行う。 2-3週上皮部の成熟を待つ。上皮が十分治癒するまで待つ必要はない。筆者の経験ではそれくらいの待時で十分である。
この間に持ち上げた肉芽とソケットの間に繊維化の始まった新生肉芽ができて来ている。このテクニックの最重要の次のステップで使うフラップの非常に血管組織に富んだ活性化の高い肉芽がこの間に生育されてきている。