症例・治療紹介

開門橋テクニック(外科術式2)

次に第二段階目の処置を説明する。
この処置はオペレーション直前に第一段階で作製した抜歯窩から持ち上げた歯肉と抜歯窩との間にできた歯肉とで二重のフラップを作成する。このときには既に上皮は熟成をはじめて若干の強さを有するようになっている。 

まず前回、抜歯窩よりクロスマットレスにより持ち上げた歯肉のみでフラップを作る。抜歯窩の隣在歯の舌側隅角部を結んだ線に切開を入れる。


この最初のフラップは次に作るフラップの栄養を遮断しないように骨膜まで切開しないように注意する。両隣在歯の歯肉溝切開を隣接部から頬側全周にいれ舌側から部分ソウ弁で一つ目のフラップを作る。縦の切開線はこのテクニックの場合減張しなくてもよいので手技を妨げなく視野が確保できればしなくてもよい。次の操作時に術野の不足や手技に妨げがあれば、隣在歯の遠心に縦切開をする。この場合でも視野と手技の確保のための最小量でよく減張のためではない。



次に一つ目に作成したフラップと反対側に二つ目のフラップを作成する。
一つ目のフラップをおこし頬側抜歯窩最外側からソケットの骨面に沿って新生肉芽を抜歯の時と同様にボーンキュレットで剥離し反対側に叛転する。これで二つめのフラップが完成する。
上皮が角化歯肉として治癒していく一つ目のフラップと治癒機転にある幼弱ではあるが高い活性化に満ちた二つ目のフラップである。この二つのフラップの面積の合計は通常の切開のフラップに比べて1.5倍強の寸法になる。

その後、露出した骨面に対して、GBRやそれらを含むインプラント埋入処置を行っていく。
抜歯窩の処置に対して遮蔽膜は必須であり、術者はこの処置に於いて遮蔽膜の露出や切開部の裂開には常に注視しながら術後経過を見守る必要がある。遮蔽膜は骨組織の生成をたすけるがその反面、血液循環の遮断を図ることで粘膜を露出裂開し易くする。遮蔽膜が露出するか否か、また軟組織の裂開を起こすか否かは術者にとって重大な問題である。


インプラントやGBRをして遮蔽膜(Zimmer BioMend)を設置したうえに新生肉芽で作ったフラップを戻しその上にはじめにつくった成熟しつつあるフラップを戻してそれを縫合する。 活性化の高い新生肉芽でなお且つ有茎であるため、その上にのるフラップに対する栄養補給は十分である。


このフラップデザインを用いた場合、前出で述べた問題は簡単に回避することができる。この手法で得た十分な寸法とボリュームを持った軟組織は操作を行ううえで安定性があり、この手法を行った症例に於いて、歯周組織の裂開は認められなかった。



1.5Y後のCT画像