症例・治療紹介

開門橋テクニック(考察)

筆者にとってインプラント周囲組織が角化歯肉であるかどうかは大変な問題となる。張り出した可動歯肉や頬粘膜、筋肉の牽引によってインプラントアバットメントやストラクチャー部と周囲粘膜との間が汚染に晒され、好ましくない形状の圧痕や生活環境上の愁訴を患者は我々に訴え、我々(筆者)はその対応に頭を悩ますことが多い。今回述べた簡単で安全な術式を習得することで、限局的で重篤な歯周病に陥った歯牙を抜歯から安易に十分な量の角化歯肉をもったインプラント治療へと置換できる。抜歯時にソウハしなければならない症例に対しても角化歯肉量を多く再生させたり残存させたりすることが可能であり、時間的節約に関してもかなり有効的である。


抜歯に至る歯牙のソウハされるべき軟組織を有効に利用して、患者に対しても大きい切開を伴うGBRや口腔内に複数の切開を伴い、出血などの危険にさらされる歯肉移植などの肉体的苦痛から開放され来院回数や経済的、精神的な面に対しても緩和される。


我々(筆者)にとっても数回の慎重な操作さえ覚えればこのフラップはまず失敗することはない。普通に切開をして減張をして縫合する遮蔽膜を用いるGBRは筆者は手技の未熟さもあってかいまだに遮蔽膜の裂開をみるときがある。この術式が使えたときのケースに裂開は皆無である。

普通にGBRをおこなった部位の歯肉はかなりの減張をして、縫合時にできるだけテンションをかけないようにするが、その治癒をみると角化歯肉が不足していて幅、長さ、厚みとも補綴時に問題を抱えるときが多いように感じる。健全で審美的な修復には患者側にかなりの肉体的苦痛や出費を伴うし、その対策に術者(筆者)は失敗の危険にいつもドキドキしながら歯肉や骨を処置していくこととなる。


当然ながら以前筆者は抜歯直後に切開を加えてからソケットを持ち上げてインプラント埋入やGBRを試みている。しかしながら大きな失敗はないがやはり薄い根尖部付近でパーフォレーションをおこしたり裂開をみたりした。筆者はこのフラップをつくるための抜歯から3-4週を待つほうが上策であると考える。待つとしてもそれだけである。


この二重に作られたフラップは見た目にも操作していても非常に安定感に富んでいる。操作時に通常のフラップと違い、フラップの総面積の大きさから歯肉や骨膜からのテンションがかからない。だから縫合には無理にテンションはかけなくてよい。


なにより治癒が非常に迅速且つ良好である。


あとは通常期間オステオインテグレーションを待ったり化骨化を待ってその部位の歯肉が不足しているのならそれについての処置をすればよい。しかしこのフラップの場合、歯肉の不足はあまり感じないとおもわれる。


自分はやったことはないがPartschⅠ法(副腔形成術)のような開窓術で単純な嚢胞を処置する場合に残した嚢胞壁をこのように持ち上げて嚢胞壁と骨面の間に新生肉芽を作りそれによるGBRを行えば大きな陥凹を残さないし食滓の残留のしにくい創面に仕上げることが出来ると確信している。機会があれば是非やってみたい。