症例・治療紹介

開門橋テクニック(追録)

UJE O-Ring effect(Upper Junctional Epithelium O-Ring effect)


前記のようにしてインプラントのサブジンジバルエリアに十分な量の角化歯肉が確保されると、プラットホームスイッチングからコンケイブ形状そうしてエマージェンスプロファイルに移行いていくという従来の考え方をもう少し発展させて、コンケイブ形状のところにもう一箇所より明確なコンケイブ形状を作製し、より気密性に優れた生理的関門を与えようとするものである。


元来アバットメントレベルの印象によりジルコニアやチタンのカスタムアバットメントや既製のカフ(ネック部)にハイトのあるチタン製アバットメントを削り込んで対応していたのだが、今回、より一般的な用途を模索する意味で既製のジルコニアアバットメントによるO-Ring effectを再現してみた。しかし既製のジルコニアアバットメントだと1-2ミリのカフ高さでハイトが無い。やはり形態的にはカスタムアバットメントには勝らないが機能的にはそれと同様の効果を発揮する。 カスタムアバットメントはO-Ring effect上にエマージェンスプロファイルが作製されるが、既製のジルコニアアバットメントだと低いカフ部をコンケイブ形状に削り込まないといけないし、アバットメントのマージンライン部の鋭縁も研磨する程度に角をとる必要がある。アバットメントのシャンファー部にO-Ring effectを持たせるのである。そうしてストラクチャーによりO-Ringの非常に煩雑な手技ではあるが、十分な角化歯肉を持つサブジンジバルエリアをより予知性の高いものにするために考えられたプラットホームスイッチングとコンケイブ形状にO-Ring effectを付与するという考えは非常に合理的であると考えられる。


プラットホームスイッチングから立ち上がったBiologic widthをコンケイブ形状内に確定し、その上から角化歯肉のO-Ring effectでエマージェンスプロファイルに、より強力な生理学的関門を与える。

インプラントレベルで印象しカスタムアバットメントで修復するのは非常に簡便であるがカスタムアバットメントも既製のジルコニアアバットメントを使う場合も共にテンポラリークラウンによるサブジンジバルカウンターとO-Ring effectの確定が必要となってくる。


既製ジルコニアアバットメントを使う場合はストラクチャーでO-Ring effectを確定させるのであるがストラクチャーのマージン部が深くなるため、作業上一時的にではあるがテンポラリークラウンでO-Ring部は便宜的に広くしておいたほうが良い。狭いとストラクチャー装着時の圧排操作が難しくなる。


(凹状のアバットメント)

(O-Ring effectを持たせたアバットメント)

(クラウンのマージン部を中心にO-Ring effectを持たせた)

(装着前のアバットメントとクラウン)


今回のケースのように既製のジルコニアアバットメントを使用する場合は若干のトレーニングが必要となる。しかしカスタムアバットメントを使用する場合は通常の手法となんら変わりはない。カフ部にハイトのある既製のチタン製のアバットメントを使う場合も同様である。


このO-Ring effectを付与したインプラント周囲組織は驚くような成果をみる。十分な厚さが確保された角化歯肉サブジンジバルエリアにO-Ring effectを追加利用することも前記のテクニック同様、是非一度試して頂きたい。



小坂 恵一

大阪市北区大淀中2-7-23