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症例・治療紹介
適応症を広げる改良型遊離歯肉移植術の考察(M-FGGの利点と欠点)
(利点)
1)術部位に係わらず安定した良い結果を得られる。
2)移植片が生着後、移動が起こりにくい。
3)移植部の角化粘膜層と歯槽粘膜との境界が明瞭で視覚的、機能的に安定した治癒を示す。
4)移植片の寸法変化がおきにくい。
5)移植片の生着率に関しても処理された歯槽粘膜や歯周パックからの機械的刺激や外圧が掛からないため、FGGより必然的に成功率は高くなる。
6)歯周パックは必要ではない。歯周パックをしなくても移植片は歯槽粘膜に包含されない。
- (1)縫合後の生着を阻害するような歯周パックの煩雑な操作による移植片の位置移動、圧力や余計な圧迫のための血流の阻害がない。
- (2)歯槽粘膜を縫合し、創面を露出させ無いため歯槽粘膜からのフィブリン網による移植片の包含治癒が起きず、どちらも単独で治癒し特に歯槽粘膜部は抜糸時には既に治癒している。移植片の上皮が剥離していても歯周パックによる移植片の保護は考えなくてよい。
- (3)余った歯槽粘膜を先に縫合するため術直後から創面の露出がほとんど無く術後疼痛や出血はFGGより少なく創面保護を考えるための歯周パックは必要としない。
7)手技的にも時間的にもFGGと差はない。
8)特別な器具、材料を何も必要としない。FGGより少なくて良い場合が多い。
(欠点)
FGGとほぼ同様である。
1)術部が二箇所になる。
2)術後出血、術後疼痛、下額小臼歯部大臼歯部の術後麻痺の可能性がある。
3)生着が失敗する可能性もある。
4)食事時の移植片への侵襲の可能性も考えられる。
5)M-FGGの場合、歯槽粘膜と受容床の縫合部が深部に及ぶことが有る為、抜糸時の操作が難しくなる傾向にある。